夜の甘やかな野望
「いつ?」
「2週間ぐらい前の週末」
表情が引き締まる。
「病院に来てくれた?」
「はい」
倫子の目を見て、何を語りたいか分かったらしかった。
片手で顔を覆うと、突然笑いだした。
そのまま床にひっくり返る。
倫子の方は気でも狂ったのかと、若干身の危険を感じた。
「そっか、倫子さん。
加絵さんと一緒の所を見たんだ」
加絵さんとは、あの女性の事なんだろう。
病院の独身寮から、少し身をかがめて彼女の顔をみつめ、なにやら柔らかく語りながら、腕をとり車に乗せた女性。