夜の甘やかな野望
指の間から宗忠の瞳がのぞく。
横たわって見上げられると、色っぽい。
そんなことを思いながら、茶色の瞳をみつめて倫子はうなずいた。
「無視するの、そのせい?」
難問を解いた子供のように瞳がきらきらしている。
倫子はぐっと歯を食いしばって、言葉を出さなかった。
「よかった」
ほっとしたように宗忠は呟くと、身を起こした。
「捨てられたかと思った」
にっこりと笑って言ったが、この人にはそれほどそぐわない言葉はないだろう。
“また”捨てられるのは、こっちだ。