夜の甘やかな野望



宗忠は考え込むようにうつむきがちだった顔を上げて、真剣なまなざしで見つめてきた。


「今後は気を付けます」

「信用して、いいんですかね・・・?
 なんだかうまい言い訳を聞いているような感じがするんですが」

「倫子さん」


気の毒な位、眦と眉尻を下げる。


「なんかさ、本当に・・」


どっこいしょと王子らしからぬ言葉を呟いて、腰を少し上げると、倫子の横に来て腕と足で囲い込む。


「すごくショックを受けていたんだからね」


倫子の耳に口をつける。


「違う男を好きになって、切られたかと思って」

「そんなこと、ある・わけ・・」


口の中でモゴモゴと呟いていると、あごの線をくちびるで辿られて、落ち着かない気持ちになるのをごまかそうと、
倫子は宗忠の頭をぺしっと叩いた。
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