夜の甘やかな野望
「倫子さんだけだから」
返事ができない。
なんだか完敗だ。
でも同時に、心の隅で悟っていた。
この男はこういう結果を読んで、会ってみるかと問うたんだ。
「その時は・・・」
くちびるが重なりかける位置で、宗忠は動きを止め、倫子の目をのぞき込む。
「本当のその時は、フェードアウトでお願いします」
合わさっていた宗忠の瞳の温度が下がった。
「えーと?」
固まっているのに、倫子は呼びかける。