夜の甘やかな野望


だから余計に、不安。


本当は、どう思っているのかって。


なんだか、どんどん距離が遠くなっていくなあ。


それもすごい勢いで


暖かいココアのカップを両手で包み、倫子はぼんやりと目の前の紅葉を眺める。


今日、その診療所に引越す。


病院にある私物を引き上げて、村へ向かう。


倫子は病院の駐車場脇にある、入院者のための“憩いの森”の中でベンチに座り、宗忠が帰ってくるのを待っていた。

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