夜の甘やかな野望



「看護婦のヘルプを断ったって聞きました」

「うん。
 巡回用に新たに雇うわけじゃくて、この本院から当番で決めるって言うから。
 手が足りていないのに、そんなお願いできないよ」


宗忠が柔らかく微笑んでいる。


いつもそんな風ならば、看護婦の受けがいいだろうなあ、と、倫子は冷めた目で眺めていた。


「私、お手伝いしたいです」

「ありがとう。
 でも、山崎さんが抜けたら婦長さんも困るよ」

「私、ここを辞めてもいいと思っているんです。
 内藤先生のお手伝いの方がしたいんです」


それって?


倫子は中腰のままで、胸の中で呟く。
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