夜の甘やかな野望
「ええと。
ありがとう。
でも、僕、山崎さんに給料を払う余裕は無いから」
「いいんです!
内藤先生と一緒に暮らせれば」
宗忠も倫子も絶句した。
「あの・・・ね、山崎さん。
僕が看護婦の派遣を断ったのは、手が足りないっていうのもあるんだけど。
もう一つあるんだ」
宗忠は彼女の顔を真正面にとらえた。
「彼女に心配をかけたくないっていうのが大きいんだ。
何も無いって言ったって、長時間、二人きりで行動するじゃない?
今は彼女と遠距離だから、余計な心配をさせたくないから」
微笑は無く、真剣な表情だった。
本心なのか、面倒から遠ざかりたいからなのか。
倫子の所から距離が遠く、そこまで表情の襞はくみ取れない。