夜の甘やかな野望



「ありがとう。
 有能なのは良くわかっているけど、あんまり無理しないでよ。
 医者として呼ばれるの嫌だからね」


やや皮肉を混ぜると、宗雅はちょっと眉を上げた。


「ああ、その通り。
 有能なんで」


さらっと言って宗雅は立ち上がった。


本気で言っているのが、この兄だ。


「じゃあ、またな」

「もう行くの?
 泊まってくのかと思った」

「まさか。
 くたばっていないか確認しに来ただけ。
 まあ、女を不安にさせるのは男失格だから、頑張れな」

「んー」


気のない返事をして、車に乗り込むのを見送る。
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