夜の甘やかな野望
9.
*
一緒に育った時間は長いから、宗忠は何となく見抜いただろう。
もし宗忠がこの状況に関係なかったら、碧さんに逃げられたって白状できたかもしれない。
かっこ悪いことも、兄弟間で話してきた。
でも今は話せない。
言ってしまえば宗忠は、おれが継がなかったからだよね、って責任感じて、動く。
そんな余裕が今の宗忠にはないだろう。
宗雅は思わず長くため息を吐いた。
女を不安にさせて男失格なのは自分だ。