夜の甘やかな野望



隅にグランドピアノが置いてある。


シックな雰囲気だ。


だべーっとしながら夕食を食べたかったんだけど。


それに車だから飲めないだろうに、なぜバーなんだろう。


確かに料理は美味しいけど。


牛筋のワイン煮を二人でつつきながら、倫子はシメイビールを、宗忠はスパークリングウォーターを飲んでいた。


お互いの仕事のことを話していると、柔らかな音が流れてくる。


視線を向けるとグランドピアノの横に、華奢な女性がバイオリンを演奏していた。


BGMとしてバイオリンの生演奏。


贅沢だと思っていると、宗忠が周囲を見回しているのに気が付いた。
< 231 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop