夜の甘やかな野望
隅にグランドピアノが置いてある。
シックな雰囲気だ。
だべーっとしながら夕食を食べたかったんだけど。
それに車だから飲めないだろうに、なぜバーなんだろう。
確かに料理は美味しいけど。
牛筋のワイン煮を二人でつつきながら、倫子はシメイビールを、宗忠はスパークリングウォーターを飲んでいた。
お互いの仕事のことを話していると、柔らかな音が流れてくる。
視線を向けるとグランドピアノの横に、華奢な女性がバイオリンを演奏していた。
BGMとしてバイオリンの生演奏。
贅沢だと思っていると、宗忠が周囲を見回しているのに気が付いた。