夜の甘やかな野望



「こちら岡田倫子さん。
 彼女は三崎さゆりさん。
 えーと、幼馴染っていうかな?」


さゆりはそうですね、と寂しそうな微笑を浮かべ宗忠を見上げる


なぜか翳りのある表情。


二人の視線が絡む。


やがて宗忠の方がそれをほどいて、倫子に向けた。


「家が近所だったんだ。
 親同士にも交流があったから、幼稚園から高校までは学校も一緒だった」

「そうですか」


なんだか身の置き所が無い空気。


倫子は体重を右足から左足にかけなおす。


つながっている手を解こうと少し引いたが、宗忠が離す様子はなかった。
< 234 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop