夜の甘やかな野望



「今日、兄さんは来るって?」


さゆりの表情に一瞬恐怖が走ってから、微笑した。


「どうかな。
 連絡をもらったことはないので」

「・・・そっか・
 この所、兄と連絡がとれなくて。
 ここに来れば会えると思ったんだけど、空振りかな。
 倫子さんの事、紹介したかったんだけど。
 ねえ」


そう言って倫子を見下ろした。


「はあ」


倫子はなんとも気のない返事をしてしまう。


「そう・・・なんだ」


さゆりが目を大きくして呟いた。


倫子はその様子を見て、宗忠が本当に紹介したかった相手を知った。


だけど、なぜ?
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