夜の甘やかな野望
「僕たちには妹のようなものだから、すぐ上の兄も心配していて、なんとかしてあげたいと思ってはいるんだけど。
でも年が経つごとに、こじれ方がひどくなって。
なんで、あの二人は上手くいかないんだろう」
宗忠はぼやくように呟いた。
また、どこか辛そうで切ない影が立ちのぼる。
この人も本当は彼女のことを・・・?
でも兄の想い人だから身を引いたのか。
そして彼女に私の存在を知らせ、兄と上手くいくようにと?
倫子は自分の胸の中がグラグラした。
この男の心は本当に、どこにあるのだろう?
倫子は手を引かれ、半歩後ろを歩きながら、何も読み取れない綺麗な横顔をみつめていた。