夜の甘やかな野望
あの世界から倫子は手を引いて連れ出してくれた。
安きに流れ、それでいて不満を持ちながら、くすぶって過ごしていた毎日。
ヘタレの自分に嫌気がさしながら、腐っていた毎日。
倫子と出会ってからは楽しかった。
彼女は自分にとって、本当に“白馬の王女”だったのだ。
つっけんどんで、思い切りがよくて。
手を引くっていうよりは、放置されたっていうか。
うん、まあ、王子って感じ?
宗忠は一人でにやにやと笑った。
No other love
女性ボーカルがベルベットの声で歌う。
自然と想いは倫子に戻る。