夜の甘やかな野望



あの世界から倫子は手を引いて連れ出してくれた。


安きに流れ、それでいて不満を持ちながら、くすぶって過ごしていた毎日。


ヘタレの自分に嫌気がさしながら、腐っていた毎日。


倫子と出会ってからは楽しかった。


彼女は自分にとって、本当に“白馬の王女”だったのだ。


つっけんどんで、思い切りがよくて。


手を引くっていうよりは、放置されたっていうか。


うん、まあ、王子って感じ?


宗忠は一人でにやにやと笑った。


No other love


女性ボーカルがベルベットの声で歌う。


自然と想いは倫子に戻る。
< 242 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop