夜の甘やかな野望
ますます精神的余裕が失われる。
いよいよ追い込まれた時、自分がどういう行動をするのか。
想像すると恐ろしい。
・・・違うことを考えよう。
これからの予定。
なんか食べた方がいいよなー。
夜の往診が2件あるし。
思っても体は動かない。
玄関の引き戸の戸車が、限界の軋みを立てるのを聞いた。
「ごめんください」
え?
さっきとは打って変わり、敏捷に立ち上がるとふすまを開けた。
玄関の引き戸を少し開けて、倫子が顔を半分のぞかせていた。