夜の甘やかな野望


倫子が手にしているのは、この間、二人で空けたシャンパンのボトルだ。


そこにグレイッシュピンクの重厚な花がさしてあった。


「ラナンキュラスだって。
 輸入物として春を先取りとか。
 なんだか・・・素敵だったので買ってみました」


倫子がぶっきらぼうに言うのに、宗忠は首を少し傾げる。


こういう時は、照れている時。


なぜだかはわからないが。


「うん、確かに素敵な色だね」

「どこにおこうかな」

「スピーカーの横とか?」

「そうします」


倫子は素直にスピーカーの横に置くと、宗忠の横に腰を下ろした。
< 248 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop