夜の甘やかな野望
倫子が手にしているのは、この間、二人で空けたシャンパンのボトルだ。
そこにグレイッシュピンクの重厚な花がさしてあった。
「ラナンキュラスだって。
輸入物として春を先取りとか。
なんだか・・・素敵だったので買ってみました」
倫子がぶっきらぼうに言うのに、宗忠は首を少し傾げる。
こういう時は、照れている時。
なぜだかはわからないが。
「うん、確かに素敵な色だね」
「どこにおこうかな」
「スピーカーの横とか?」
「そうします」
倫子は素直にスピーカーの横に置くと、宗忠の横に腰を下ろした。