夜の甘やかな野望
そして気づかれないように、宗忠はそっと倫子の横顔を見た。
散っていく花びらを見つめる倫子のまなざしが、不安気に揺れている。
不安にさせているのは知っているし、理由もわかっている。
でもこの人はあせらない。
下手な小細工もしない。
こうやって恋人が、わが道を突っ走っていても。
その強さと寛容さは、宗忠にとって何よりもありがたかった。
まあ、誤解して、この間みたいな突然の断絶をしたりするけど。
今後も、気を付けよう・・・。
ああ、そう・・・。
僕はこのひとの手を離すつもりはないんだ。