夜の甘やかな野望



この間も無医村循環医になることを倫子が納得すると、それについて生き生きと語ってくれたし。


ネットワークがどうのこうとか。


他国の貧困層の医療対応の記事まで引っ張り出してきて、それと絡めながら。


だから、彼はこの状況を本当に望んでいたのだろう。


それがわかって、倫子は迷っていた。


医療事務の資格をとったと、言うべきか言わないべきか。


この間、看護婦の山崎が告白しているのを見て、それなりに考えた。


早急に、宗忠のために助けることができることが無いかと。


医療事務の資格があったら、週末にここに来たら、手伝えるかもしれないと考えたのだ。


もし。


もし望んでくれるなら、今から勉強して看護師にだってなる。


でも、どうなんだろうか?


いつだって。


いつだって彼の本心は見えないから。
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