夜の甘やかな野望
目の前には、両親が連れてきた女性が座っていた。
かわいいね。
宗忠は胸の中で今度は大きなため息をついた。
文句なく、かわいい。
小さな顔に大きな目、甘そうなくちびる。
清純派の女優のような可愛らしさの上、育ちの良さがあらわれている。
なんだけど、ね。
相変わらず両親の認識は間違っている。
需要と供給のバランスをとっているだけで、こういうのは全然、好みじゃないのに。
すべてが違和感だらけだ。
なにもかも全て。
宗忠は諦めた気持ちで窓の外を見た。
このままずっと、このまま、か。
あふれ出てくる倦怠感。
宗忠は名前を呼ばれ、視線を戻すと、にっこりと笑った。