夜の甘やかな野望
なんでこの子はわからないのかな。
本気で大事な子がいないから、色々手を出すんじゃないか。
そもそも、あらゆることが、どうでもいい。
でも倫子の真剣な顔が可愛く思えて、ついつい頬が緩む。
倫子の視線はうさん臭さそうになった。
これ以上、変人に思われないように宗忠は顔を引き締めた。
「倫子さん。
雨、嫌いなの?」
子供に語るようにやわらかな口調。
「嫌いです」
「そう」
柔らかく言うと、宗忠は眦に笑みを浮かべた。
そして郵便物に視線を戻す。
なんですか、その綺麗な笑いは。