夜の甘やかな野望


「だ、だって湿気で髪の毛とかも広がるし」


倫子は思わず噛んでしまった。


口調もなんだか拗ねた女の子っぽい。


こういうキャラじゃない。


「先生の髪の毛、サラサラしていいですね」


キャラ修正をしようとするあまり、思わずどうでもいいことを言ってしまった。


宗忠は見終わった郵便物をデスクに置いて、微笑した顔を倫子に向けた。


「倫子さん、ヘアスタイルを短くしたことある?」

「ええと、いえ・・・」


なんとなく笑顔で詰められている気分になり、言葉を濁したが、逃げられない気分になり白状した。


この男、時々、雰囲気が怖いのだ。


「その、長い方が男の人って好きって聞くので」


思わず心の奥底にある本音を白状してしまった。


宗忠はきょとんとした顔でまばたきをする。
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