夜の甘やかな野望
そう思った時、宗忠の陰から小柄できゃしゃな女性が現れた。
カールのかかった髪の毛をルーズなアップにしていて、可憐さが増している。
妖精みたい。
倫子は目が丸くなる。
うわうわうわ。
同じ人間と思えない。
大きな目は心もち潤んでいて、女の自分でも見つめられたら抱きしめたくなる。
その目でじっと宗忠を見つめて話している。
これが、内藤先生の本命か。
いつぞや、言葉を濁して苦笑いをしていたが、それもそうだ。
これは他人に教えたくないかも。
呆けたように見つめていると、視線を動かした宗忠とばっちりと視線が合ってしまった。
宗忠は意味深な笑いを一瞬作ってから、華奢な背中を手でそっと押して、去って行った。