夜の甘やかな野望
あーびっくりした。
驚愕が去って、会場に戻る。
母親に遅かったわね、と言われ、まあ、と言葉を濁す。
似あっている組み合わせだったな。
なんとなく気落ちがしてワインを口にした。
うん、やっぱりああでないとね。
諦めがつくってもんよ。
口に含んでいたワインを一気に飲み込む。
諦めか・・・。
なんだかおかしくなって、へへっと笑うと、母親から“酔っぱらったの”と白い目で見られた。
好きだという自覚と同時に失恋してしまった。
いやいや、これは憧れに違いない。