夜の甘やかな野望
慣れているし、ああいう性格だから、今後もやり辛くないのが救いだ。
倫子はよっこらせと掛け声を出して立ち上がると、宗忠の言葉をいいことに、置いてあるボディークリームや基礎化粧品をつける。
更に冷蔵庫の中から、一度は飲んでみたかった水素水のペットボトルを見つけていただいた。
しかし・・・。
倫子はあきれたようにぐるりと部屋を見渡した。
一体、何人の女が牽制しているんだろう。
浴室に置いてあったのはオーガニックで有名なヘアケア物だった。
女性用の基礎化粧品は国内外の高級ブランド物と自然派のが、男物の基礎化粧品の隣に並んでいた。
女物の歯ブラシが何本あるのか、好奇心にかられて探してみたが、それは1本もなかった。
キッチンの棚にはハーブティーもあれば、各種銘柄の紅茶があり、コーヒーがある。
飲んでしまった水素水も、誰かが置いていったんだろう。
本命の妖精さん、気にしないのか。
部屋に入れないとか、来る時だけ片付けるとか、対処方法は色々あるのか。
経験が無さ過ぎて、よくわからない。