夜の甘やかな野望
「件数、どのくらい?」
「いつもと同じでしょうか」
倫子は手に取って票を数えて答えた。
「そっか。
じゃあ、倫子さんと一緒に上がれるかな」
「どうでしょうね」
宗忠はため息をついた。
「倫子さん、塩対応すぎる」
「そうですか?」
「あの朝、先に出勤しなきゃならなかったから、そのお詫びをと思ってたのに」
「いやいや結構です」
「怒ってるの?」
「怒ってませんので、大丈夫です」
「お友達になるのイヤ?」
「ってか、この会話を止めたいんです」
赤面した倫子の目線はあらぬ方向を向き、そっけない口調に宗忠は口を数秒つぐんだ。
そしてにっこりと笑う。