夜の甘やかな野望
5.


    *


宗忠が当番医の時は、お約束のように一緒に帰るようになった。


倫子は宗忠のマンションに行くのを好まないため、倫子の部屋へ帰った。


3か月の間、欠かさず続いて、それが当たり前のように思うようになった頃だった。


「今日ね。
この勤務が終わった後、病院に戻るんだ。
 残念だけど」


来年度の日程予定表をデスクに置いた手が止まる。


「しばらく忙しくなるから、一緒に帰れなくて。
 残念すぎる」


宗忠の眦が下がり、手が伸びて倫子の体を自分の膝に引き落とした。


「んー」


宗忠が倫子の顔をうずめて、猫のようにのどの奥を鳴らした。


「職場です」


倫子は遠慮なく押しやると立ち上がった。
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