夜の甘やかな野望
「振られました」
淡々と答える。
正確には寝取られた。
「そうなんだ」
「ま、そういうこともあります」
宗忠は少し首を傾げる。
「倫子さん、泣いていいんだからね。
泣くっていうことが有効なこともあるんだから」
「精神学上ですか?」
「うん」
確かに、うわあっと大泣きしたらすっきりする気がする。
中学生の頃、バレーボールの試合に負けた時は大泣きできたのだが。
「前向きに検討します」
「はい」
好奇心で、一応、聞いてみる。