夜の甘やかな野望
*
倫子は、宗忠が逃げるように去って閉まったドアをしばらく見つめていた。
さすがに女がこんなに缶ビールを飲んでいたら、引くか。
ため息をつくと、冷蔵庫から懲りもせず缶ビールを取り出した。
冷蔵庫に寄りかかり、部屋を眺める。
あんまり女子っぽい部屋じゃないし。
あんまり整理整頓されてないし。
可愛くカクテルとかだったら良かったかな。
手元の缶をみつめる。
せめて果物系の缶酎ハイとか。
ビター系のビールじゃあ、まるっきり男子みたいだよね。
でも、これ好きだし。