保険彼女と日向くんの甘々同居生活


…前の私なら、先輩のことが大好きだった前の私なら、きっと『先輩はそんなことしない』
そう思えたんだろう。


でも、今の私はそう思うことは出来ない。

一回裏切られている今の私には
先輩を信じることは出来ない。




…無理だよ。










「ただいま」



家に帰ると、まだ日向くんは帰ってきていなかった。



昨日の夜から日向くんはこの家に帰ってきていない。





あの女の子と歩いているのを見て以来
日向くんの顔を見ていない。


…今日は帰ってくるよね?




ご飯作って待ってよう。

動いていれば余計なこと考えなくてすむもんね。




いつもならつけないテレビをつけて
少し音量を上げて料理を作り始めた。


ぼーっとしたまた作業を進め、
あと少しで料理が出来そうな時






「「ただいま」」




日向くんと成瀬さんの声が聞こえて
ハッと現実に引き戻されたような気がした。



よかった。ちゃんと帰ってきてくれた…。





「おかえりなさい」


「愛花ちゃんご飯ありがとね〜」





成瀬さんがニコニコしながらそう言ってくるから少し前までの暗い気持ちがどこかへ飛んでいって



「うまそう。手伝えなくてごめんな。
明日は一緒に作るから」




私の頭に手を乗せて微笑む日向くんを見て
心が温かくなった。
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