1/100でも、じゅうぶん甘いね。



「……好きな人って、誰なの……?」




椅子に座ったまま、小さな声でつぶやく。

倉科くんの席からは、こんな景色が見えてるんだ。


前の方の私の席なんて、なかなか視界に映らないな。


……何だろう、すごく寂しいな。






──ガラッ



そんな音とともに急に開いた教室のドアに、驚いてパッと振り返る。




「っ……!」



びっくりして、心臓が止まるかと思った。

そこにいたのは、驚いた顔の倉科くん。



ど、どうしよう。

倉科くんの席に勝手に座ってたの、見られた。


どうしよう、どうしよう。
変な奴だって思われる!

慌ててガタン、と椅子を立って、必死に言い訳を探す。




「……そこ、俺の席だけど」




「っ、あ、あの!私の席、窓際だから眩しくて!だからその、勝手に座ってごめんなさい……っ」





我ながら苦しい言い訳。


眩しいから倉科くんの席に座るなんて、意味が分からないし。

そもそも私の席は確かに日が当たるけど、眩しいほどじゃない。




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