1/100でも、じゅうぶん甘いね。



「いや、別にいいけど」



無理な言い訳を信じてくれたのか、私が座っていた倉科くんの席の、ひとつ前の席に座る倉科くん。

ガタ、と椅子を引いた音が、ふたりきりの教室に響く。

座るんだ……。


「座りなよ」なんて言われて、ゆるゆると倉科くんの椅子にもう一度腰を下ろす。

ドクン、ドクン、とゆっくり、それでも大きな音で脈打つ心臓。




「何してんの?」

「あ、プリントを……纏めなきゃいけなくて」


倉科くんは、机の上に積まれたプリントを見ながら話す。


「ふーん、これ3枚ずつ?」

「うん……」



倉科くんの綺麗な指が、プリントを3枚ずつとってまとめる。


さりげなく手伝ってくれる倉科くんに、どうしたって胸がきゅうん、と疼く。



嬉しいけど、顔が見れないし。

意地悪なのに、優しいし。

何を喋ったらいいのかも、わからない。



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