1/100でも、じゅうぶん甘いね。



「……あのさ」



しばらくの沈黙を終わらせたのは、倉科くんだった。

静かに話を始めた彼に、私も顔をあげる。




「うん……」





静かな教室。

遠くに聞こえる、運動部の掛け声と吹奏楽部の楽器の音。

カチ、カチ、と機械的に一定のリズムを刻む、時計の秒針。

それから、頭の中でどくん、どくんと脈打つ心臓がうるさい。




「迷惑、だったらごめんな。祭りの日のこと……嫌だったら忘れていいから」






少し掠れた倉科くんの声。

俯いて隠れた、少し赤い頬。




「でも、忘れる前に、1回だけちゃんと言わせて」



「……え、」



< 106 / 263 >

この作品をシェア

pagetop