1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……唯くん、」
「……」
「唯くん!」
「んー」
重いよ。って、言ったのに離れてくれない。
数学、教えてくれるって言ったのに。
放課後、私たちしかいない教室。
補習の課題として渡された数学のプリントがわからない私に、 「教えてやるよ」なんて言ったはずの彼は、隣に座って。
そして私の肩に寄りかかって、スマホのゲームに夢中だ。
左肩に触れた唯くんの体温に、私の気持ちは落ち着かない。
唯くんのいい匂いがする。
綺麗な長い指が、滑るようにスマホの画面をなぞる。
マナーモードにしているから音は鳴らないけれど、視界の端でピカピカ光る画面が気になってしまう。
ゲームの中のドラゴンより、私のプリントを倒してよ。