1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「ねえ、唯くん」
背の高い彼から寄りかかられると、やっぱり重くて。
ううん、ていうか、そんなことよりも。
「(近い……)」
柔らかくてふわふわした彼の髪が、頬に触れてくすぐったい。
茶色く染めたそれは、窓から差し込む光に当たって、透けるように輝く。
唯くんの柑橘系の柔軟剤の匂いも、耳に光るピアスも。
何より肩に触れるその体温に、ドキドキしちゃうんだってば。
「ね、ねえ……集中できないから離れて、」
きっと唯くんが離れたところで、難しい数学の問題なんて解けやしないけれど。
このドキドキする空間に。
私だけが意識しているこの状況に耐えきれなくなって、小さな声で訴える。