1/100でも、じゅうぶん甘いね。


「玲央くん、無事でよかった!見失ってごめんね」


「……ごめん、俺、自分のことしか考えてなくて、」


俯いて肩を震わせる玲央くん。なんだか泣きそうな顔をしている。

大人っぽくなったと思っていたけれど、こうしているとまだ昔の玲央くんと同じで、弟みたいだ。



「柑奈とふたりきりになりたくて連れ出したのに、張り切りすぎて空回りして見失うし、危ない目に合わせるし、最悪……」


「そんなこと、」



「好きな子を守れないなら勝手なことするな」



しゅんとしてしまった玲央くんを慰めようとするけれど、唯くんの鋭い言葉が上から降ってくる。


怒った顔の唯くんに、今よりさらにしょんぼりする玲央くん。

本人が落ち込んでいるときに不謹慎だけれど、ちょっと可愛く見えてしまった。


< 168 / 263 >

この作品をシェア

pagetop