1/100でも、じゅうぶん甘いね。
* * *
……苛々する。
ただの従弟だって、親戚だって、わかってるのに。
家で映画を見ながら、3人がけソファーの真ん中に挟んだ柑奈にべったりくっつく玲央を引き剥がしたくて仕方ない。
触んなよ、俺のなのに。
なんで子供じみた嫉妬心、言葉にできるはずなんてないけれど。
「……あれ、寝ちゃった」
映画も終盤に差し掛かった頃、柑奈の肩に頭を預けてすやすやと寝息を立てる玲央。
そこは俺の場所だっつーの。
「……柑奈」
柑奈の耳元で、玲央を起こさないように囁く。
「キスして」
そう言ってニヤリと笑えば、途端に真っ赤になる柑奈の頬。かわいい。
「な、何言って……」
「ほら、玲央起こさないように、早く」
そう言って急かせば、視線を泳がせる柑奈。
じっと見つめて、逃さないように柑奈を視線で縛る俺に、観念したようにこっちを向いた。
ちゅ、と一瞬だけ触れた唇。
柔らかいその唇の、リップが少しだけ俺の唇に移る。
「──あま」
香り付きリップの花の香りをぺろりと舐めると、さっきより赤くなる柑奈の顔。
この表情だけは、アイツに魅せんじゃねーぞ。
柑奈のこと好きな男なんて、この世に俺だけでいいんだよ。
「ばーか」