1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……あ、ペンキなくなっちゃった」
「こっちもガムテープ足りないや」
材料はそれぞれ自分たちで調達しないといけないきまりになっていて、クラス代表の人が材料をあらかじめ買っておいてくれたんだけど。
あっという間に使い切ってしまったペンキとガムテープを、誰かが買いに行かないといけない。
みんな、窓の外に視線を向けるけれど、照りつける太陽は見るからに暑そうだ。
アブラゼミの鳴く声に、より暑さが増した気がする。
絶対に外に出たくない。
それはみんな一緒。
「……誰が買い出し行く?」
「……」
みんなが沈黙する。そりゃそうだ、みんな行きたくないよね。
「唯、行ってよ。今日ちょっと遅刻してきたし」
準備日の今日、少しだけ約束の時間に遅刻してきた唯くんに矛先が向く。
「は?ぜってー嫌だ。遅刻っつっても5分じゃん」
唯くんが押し付けられそうになったけれど、断固拒否したので、結局。
「……じゃんけん、するか」
1番平等な方法に落ち着いた。
クラスメイトの男の子の言葉に、みんな真剣な顔で頷く。
絶対に負けたくないって、みんなが思ってる。もちろん私だって負けたくない…。