1/100でも、じゅうぶん甘いね。








「柑奈、倉科くんと付き合い始めたんだって?」


「う、うん……!」



去年の文化祭の日、屋台で焼きそばを売りながら、優ちゃんに話しかけられて頷く。

ちょうどお客さんの少ない時間だったから、こそこそと喋っていた時だった。


唯くんが人気者の有名人だからか、私たちが付き合い始めたことはすぐにみんなに広まっていた。



「どこまで行ったの?」

「え……と、この前水族館に……」

「そういうことじゃないって!……キスとか!したの?」

「えっ?!」



思いもよらない質問に、目を見開く。

き、キス……!?




「し、してない!してないよ!」


「えー、してないの?意外!」

「ええ……お、おかしいかな?」

「おかしくはないけど……付き合ってどのくらいだっけ?」

「えっと……もうすぐ1ヶ月かな」

「じゃあもうしてもいいんじゃない?」

「ええ……」

「ていうか、倉科くんってそういう手出すの早そうなイメージだったんだけど」


唯くんと……キス。

この前水族館に行って、手を繋いだだけでも息が止まりそうなくらいドキドキしたのに。

そんなの想像できない……!




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