1/100でも、じゅうぶん甘いね。
『唯くんの方向いて目閉じてみればきっとそういう雰囲気になるよ!』
さっきの友達の話を思い出す。
ドキンドキン、と心臓がうるさいくらい音を立てる。
……いや、何考えてるんだろう。
キスしたい、だなんて。
「──唯、くん」
りんごあめ色の、唯くんの唇。
ん?って首を傾げる、やさしい顔。
自分でもコントロールできない感情が溢れて、そっと目を瞑る。
唯くん、キス、したくなっちゃったよ。
「……どうした?目にゴミでも入った?」
「……え」
「え、」
予想外の言葉に、かあ、と顔が熱くなる。
真っ赤になったあたしに、唯くんが目を見張る。
「え、ちょ、柑奈……」
「ご、ごめん!あたし行くね!」
恥ずかしくて、消えちゃいたくて。
あたしばっかりこんな気持ちになってたと思ったら、いたたまれなくなった。