1/100でも、じゅうぶん甘いね。


「ここ!行こう!」


キラキラした瞳で私を見つめながら、優ちゃんが指さしたのは3年生の出し物の教室。


「こ、コスプレ館……?」

「そう、ここで可愛いコスプレしてー、倉科くんに迫っちゃいなよ!」

「む、無理!さっきのこと思い出させないで!」

「いいからいいから!行こう!」




優ちゃんに強引に背中を押されて、教室に入ってしまう。

教室の中には、色とりどりの衣装。

店員さんらしい3年生も、それぞれコスプレ衣裳を身にまとって接客をしている。

ここで衣裳を選んだら、奥のブースでヘアセットやメイクもしてくれるらしい。
なんか本格的だなぁ。


どのくらいお金をかけたのか気になってしまうくらいバリエーションの豊かな、メイド服やナース服、着ぐるみから海賊まで何でもそろっていた。


「なんか、コスプレ趣味の先輩がいたらしくて、ほぼ自前の衣装らしいよー」


すごいねー、なんて言いながら、優ちゃんは壁にずらりと並ぶ衣裳に目を通す。


「ねえ優ちゃん、私やっぱり……」

「うん、柑奈はこれかな!」


全然聞いてないよー。

私の話なんて耳にも入れてくれない優ちゃんは、衣裳の中からひとつの服を引っ張り出す。


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