1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「好きなタイプ、これ」
唯くんは何事もないような冷静な顔で私を指差して、そんな爆弾発言をする。
会場が一気にヒートアップした。
「ゆ、唯くん!?」
「行こ、柑奈」
唯くんは全く動じずに、私の手をそっと掴む。
そのまま私を引っ張って、ステージから離れてしまった。
「ちょ、倉科くん〜!?……うーん、倉科くんはミスターコンより彼女とイチャイチャしたいみたいですねえ!」
楽しそうにニヤニヤ笑っている司会者が視界の端に映った。
「えー、彼女いるのかぁ!」
「でもあんな一途なの超憧れるんだけど!彼女羨ましすぎ!」
女の子たちの声が背中から聞こえる。
私は頭の中が真っ白のまま、ただ唯くんに連れられて歩いていた。