1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「柑奈」
ふと振り返って、私に気付いた唯くんがいつも通りの表情で私を呼ぶ。
それだけで私はきゅーんとしてしまって、ゆるゆると視線をずらす。直視できない……。
私の羽織ったパーカーはファスナーを閉めていなくて、ビキニは前からは見えている。
唯くんの視線がビキニに降りたのを感じて、消えてしまいそうなくらい恥ずかしくなった。
ど、どうしよう、唯くんに見られてる……!
これは水着だから大丈夫なはずなんだけれど、下着と同じくらいの体積しかないのにどこが大丈夫なんだ!?という気もする。
「柑奈、泳ぎに行こうよ!」
なにも言わない唯くんの前でただ固まっていると、優ちゃんに頭からズボッと浮き輪を被せられた。
「わっ!?」
「せっかく沖縄に来たんだから海入らなきゃ!」
爽やかな笑顔でパーカーを脱いで海に駆けていった優ちゃんを見て、やっと「そうだよね、楽しまなくちゃ!」という気持ちになる。