1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……唯くんのために、可愛い水着選んだのに」
少し拗ねて頬を膨らませてみたら、不機嫌そうな顔で私をみていた唯くんが、顔を逸らした。
「……来い」
ぶっきらぼうにそう言って、私の手首を掴む。
そのままずんずん歩く唯くんは、岩場の陰に私を連れてきた。
連れられるままゆっくり水の中に入っていくと、足先からじわじわと冷たい水が上がってきて、ひんやり気持ちいい。
みんなが遊んでいるところから少し離れた海の岩場の陰。みんなのはしゃぐ声は聞こえるけれど、姿は見えない。
きっとみんなからも私たちの姿は、死角になっていて見えていないはずだ。
私は浮き輪で浮かびながら、目の前で同じ浮き輪に手をかけている唯くんを見つめる。