1/100でも、じゅうぶん甘いね。



「──唯くん、遠くに行こうよ」




そんなことできるなんて思ってない。
そんな夢見るほど子供じゃない。

だけど、唯くんとふたりだけで逃げて、ふたりだけの世界に行ってしまいたかった。


きっとばかだって笑うだろう。
そんなことできるわけないって、唯くんに言われたら諦められる気がするから。


そう思っていたのに、彼から返ってきたのは、予想外の言葉だった。



「いいよ、行こうか」


「え……?」



「どこ行く?とりあえず電車乗る?」


そう言ってさっさと立ち上がる唯くんに、戸惑ってしまう。

本気で言ってるの……?



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