1/100でも、じゅうぶん甘いね。



夕方に来た道を電車で戻りながら、唯くんと話す。



「どうにもならないかもしれないけど、ここに残りたいって柑奈の意思だけは伝えたほうがいいんじゃねーの」


「うん……」


「俺も一緒に行ってやるから泣くな」


「うん、っ」




不思議だけど。

唯くんに泣くなって言われると、もっと涙が溢れてくる。

なんでだろうね、唯くんの隣が落ち着くからかな。



家に帰ったのはずいぶん遅い時間だった。

玄関を開けたらお母さんとお父さんが、慌てた顔で出てきて、元気な私を見てホッとしたように息を吐いた。




「あのね、私、お父さんたちに言いたいことがあって」



唯くんが手を握ってくれてるから。
私は1人じゃないって教えてくれるから。


まっすぐお父さんとお母さんの目を見て、口を開く。



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