1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「私、海外には行きたくない。大切な人が、いるの。絶対に離れたくないの。お願いします……っ」
涙で声が震えた。
全て言い切って2人の顔を見上げたら、2人は驚いたように顔を見合わせた。
「……ああ、もしかして夕方の話聞いてたの?」
「うん」
「あれ、お父さんの出張の話よ。来週から2週間、海外出張があるらしいの。私も行ってみたかった国だからちょっと遊びについて行こうかなーと思ってるんだけど……。柑奈は嫌なら家で留守番でもいいわよ?」
……え?
今度は私が目を丸くする。
出張……?2週間?
転勤じゃなくて……?
パッと隣の唯くんの目を見たら、なんとも言えない顔をしていた。
お父さんとお母さんも、「え、それで家出したってこと……?」と私の早とちりに驚いている。