1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「っ、唯くん、すき……大好き」
「うん、知ってる」
ぎゅう、とその胸に抱きついたら、それ以上の力で抱きしめ返される。
唯くんの柑橘系の柔軟剤の匂いが鼻をくすぐる。
「私も唯くんのこと一生離さない、嫌がられても付き纏うからね」
「絶対な」
「うん、大好き」
意地悪なきみが好き。
ほんとうはやさしいきみが好き。
1/10しか伝えてくれないきみが好き。
1/100でも溢れるくらいの愛をくれる、きみが好き。
なんでもない日常の中で、きみへの気持ちを大切に抱きしめて、たまにそっと撫でたりして。
そうやってゆっくり時間を重ねて、いつかもっと素敵なふたりになれたらいいね。
街灯が薄暗く照らす、夜の道路の真ん中。
唯くんの唇が優しく触れて、私の呼吸を奪った。
──ああ、じゅうぶん甘いね。