1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「柑奈、帰ろーぜ」
授業終了のチャイムが鳴ってすぐ、バッグを肩にかけて私の席に来てくれる唯くん。
当たり前のように私と一緒に帰ってくれることが、そのキラキラした笑顔が、嬉しくて。
それだけでさっきまでの寂しさが薄れて、ハッピーになれるくらいには、私は単純みたいだ。
うん、と返事をして、私もバッグを肩にかける。
唯くんが先に歩いて教室のドアを開けてくれて、私が足を速めたら、すぐに気付いて歩幅を小さくしてくれる。
大好きなきみと並んで歩く廊下の景色は、特別。
窓から差し込む光が白い廊下に反射して、眩しい。
みんなの騒ぐ声が、少し遠くに聞こえる。
唯くんの足音と私の足音が重なった。