1/100でも、じゅうぶん甘いね。






「……元気出せよ」


「え?」




唯くんが下駄箱の蓋を開けて、ローファーを床に落とす。

上靴を脱いで下駄箱に入れて、バタンと雑に蓋を閉めながら、ぶっきらぼうに唯くんが言った。


私もローファーに足を突っ込みながら、顔を上げる。




「今日、元気ないだろ」




……なにそれ、気付いてたの。

ていうか、元気ないの全部、唯くんのせいだけど。



唯くんが髪形変えたの、気付かないから。


唯くんが、私とイチャイチャしてないって言うから。


唯くんが、他の女の子となんか楽しそうに話してるから。


唯くんが、意地悪ばっかり言うから。




……でも、前髪切ったのも、髪巻いたのも気付いてくれないくせに、私が元気ないのには気付いてくれるんだね。





< 28 / 263 >

この作品をシェア

pagetop