1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……元気出せよ」
「え?」
唯くんが下駄箱の蓋を開けて、ローファーを床に落とす。
上靴を脱いで下駄箱に入れて、バタンと雑に蓋を閉めながら、ぶっきらぼうに唯くんが言った。
私もローファーに足を突っ込みながら、顔を上げる。
「今日、元気ないだろ」
……なにそれ、気付いてたの。
ていうか、元気ないの全部、唯くんのせいだけど。
唯くんが髪形変えたの、気付かないから。
唯くんが、私とイチャイチャしてないって言うから。
唯くんが、他の女の子となんか楽しそうに話してるから。
唯くんが、意地悪ばっかり言うから。
……でも、前髪切ったのも、髪巻いたのも気付いてくれないくせに、私が元気ないのには気付いてくれるんだね。