1/100でも、じゅうぶん甘いね。
──こんな時は、きみに会いたくなる。
ずらりと並んだ下駄箱から自分の茶色いローファーを取り出して、上靴を脱いでローファーに履き替える。
そのまま外に出てふと顔を上げると、オレンジと黄色と赤と、ピンクなんかも混ざった夕焼けの光が私を照らしていた。
「綺麗……」
この前のテストで酷い点数を取ったせいで、数学の補習を受けていた金曜日。
野球部の練習の掛け声や、吹奏楽部の楽器の音が響く放課後の校舎。
やっと補習が終わったと思ったら、もう夕方になっていて。
疲れたー、と欠伸をしながら昇降口から出たら、ガラス越しじゃない夕焼けの眩しさに、思わず目を細めた。
まだ高校2年生なんだから、補習なんて厳しいことしなくてもいいのに、なんて思いながら綺麗なその空を見上げる。
──オレンジみたいな、ピンクみたいな、不思議な色の夕焼け。
その瞬間を切り取っておきたくて、この綺麗な空をきみにも見せてあげたくて。
スマホを取り出して、長方形の画面の中にこの空を収めて、シャッターで切り取る。
こういう、綺麗なものを見たときに。素敵なものを見たときに。
いちばんに教えたくなる人は決まってる。
そんな大好きな人に写真を送ろうと、メッセージアプリを起動しようとした瞬間。